三社祭

2000年5月18日

浅草の三社祭。
浅草神社のお祭りだ。
江戸市中の祭りでは、神田明神・日枝神社の祭礼より格が下ではあるが、全国区の知名度があるのは間違いない。
担ぎ屋たちが様々なところから集まる。

浅草というのは江戸の郊外で、浅草田圃などという言葉があるように長閑なところだった。
観音様へお参りというのは、ある種のピクニック気分で出かけるような所だったのやも知れぬ。
ま、男にとっては観音様の裏手へお参りする方が、よほど楽しかったのだろうが。
観音様の裏手。
つまり吉原が官許の遊郭として許可が下りたのも、他に何もないところに管理できる遊び場として作ることが出来たからに他ならない。

その長閑な浅草の観音様は聖観音だそうで、ごく小さな像だというが、これは秘仏とされている。
その観音様を、川で漁をしているときに引き上げたというのが檜前浜成(ひのくまのはまなり)、竹成(たけなり)の兄弟。
この2人が、土師中知(はじのなかとも)っていう人に見せたら、ありがたい仏様だということで、祀ったのが浅草寺。
そして、浅草神社は観音様を祀った、土師中知・檜前浜成・檜前竹成の3人を祀っているという。
神様の格としては、神田明神(大己貴命 少彦名命 平将門命)や日枝神社( 大山咋神 国常立神 伊弉冉神 足仲彦尊)よりもガクンと落ちる。
もちろん式外社である。といっても、神田明神や日枝神社も式外社という点では同じだ。
しかし、浅草神社は明治以降の社格としてはどうなっているのだろうか。
あまり目にしたことがない。

その浅草神社のお祭りが三社祭で、この日はのんびりと目を覚ました。
9時頃に目が覚めて、またしばらくゴロゴロとする。
府中からは京王線で、まずは調布へ行く。
調布で都営新宿線直通の急行が来たので、それに乗り換える。
これで馬喰横山まで行き、ここで連れと合流したのだ。
浅草線に乗り換えて、浅草に向かった。浅草につくと駅はかなり混雑していた。
根本的に混雑しているところは好きではないのだが、こればかりは致し方ない。
連れとはぐれぬように注意して、とにかく地上に出る。
地上に出ると、観音様の一帯はほとんど歩行者天国になっている。
やはり、多くの人が出ている。
路上では大道芸を見せる人などが所々におり、その周りには人が輪になっている。
周辺のお店でも、路上にテーブルを持ち出して出店を作って出しており、なかなか賑やかである。
雷門の前の通りも歩行者天国で、お祭り広場と呼ばれている。
ここには町会神輿や子供神輿がでており、どこかにあるスピーカーからはお囃子が流れている。
どうも、このスピーカーのお囃子は俺の気分を盛り下げる。
商店街の観光祭りを思い起こさせてしまう。

しかし、このお祭り広場は開放的な感じがする。
くらやみ祭りでは、基本的に神輿が出る際には、その通り道に一般人が入ることは出来ない。
半纏を着た関係者だけ入ることが出来て、それ以外は排除されてしまう。
しかし、ここではロープを張られるわけでもなく、神輿の近くまでかなり近寄ることが出来る。
感覚的には、おかえりの感じに近い。ただ、おかえりでも、これほど近くには近寄れまい。
まぁ、もっともここも、宮神輿の宮出し宮入の時はそんなわけにもいかないのであろうが。
しかし、あまり危険を感じずに神輿見物が出来るというのは良い部分だと思う。

さて、このお祭り広場はついた時間も悪かったせいか、神輿は出ていても上がっているのは1基のみだった。
その1基に近づいてゆくと、脇道からもう1基やってきたので、そちらに向かう。
神輿の駒札には「雷中」としてある。
雷門中部町会らしい。
写真を撮ろうと近寄っていくと、やはり囃子が先導している。
すると、ちょうど四つ角になっているところで、別方向からまた神輿がやってきた。
だが、その神輿はすぐ近くの会所(神酒所というのか?)までやってきて下ろしてしまう。

さて、「雷中」の神輿は、お祭り広場へ向けて進んでくる。
こちらも何枚か写真を撮り、我々も移動することにする。
とりあえず、縁日をやっている観音様の裏手へ向かうことにして、仲見世を避けて進み出す。
だが、神輿が1基行く手に見えたのでそのルートは諦めた。
狭い道で神輿の後に付いたのでは、よけいに時間がかかるからだ。
それに、神輿に上乗りが大勢居て、締め込み姿で身体に絵が描いてある。
あまり近寄りたくはない。

仕方ないので、仲見世に向かって歩き始める。仲見世を通って観音様に向かう。
途中2基の神輿と出会う。
1基は仲見世の脇道から。もう1基は仲見世を観音様方面からやってくる。
仲見世をやってきた神輿は、擬宝珠をつけている。
わらび手には鳳凰がのっており、この辺が俺にとっては少し面白い。
と、いうのは、昔の四之宮(勿論、大国魂のである)も擬宝珠だったが、ワラビ手にはなにもついていなかった。
擬宝珠と鳳凰の取り合わせというのは、あまり馴染みがない。
そういえば、擬宝珠と鳳凰。神輿のてっぺんには、大抵この2つのどちらかがついている。
この2つ、格の違いなどがなにかあるのだろうか?
気になるところだ。そのうち調べよう。

擬宝珠の神輿をやり過ごし、さらに仲見世を進む。
観音様の手前で左に折れて、とりあえず縁日を覗く。
大国魂の境内と違って、木が茂っていないせいか非常に明るく感じる。
ただ、縁日そのものはなにも代わり映えがない。
極々一般的なところである。
腹が空いたので、ここで串焼きを買い、ビールも手に入れて腹ごしらえをする。

腹ごしらえを済ませて、本社神輿を探しに行こうと思うが、連れはあまり興味がないらしい。
このところ忙しいようで疲れているとも言っていたので、無理のない範囲で見てみることにする。
ところが、全然本社神輿と出会えない。
何年か前に来たときはタイミング良くすぐに出会えて拍子抜けしたのだが、アレは運が良かったのであろう。
仕方ないので諦めることにして、くたびれた連れをいたわるためにとりあえず一休み。
やれやれ、これなら連れを誘わずに1人で動く方が良かったやも知れぬ。

しばし休憩したあと再び行動を開始し、もう一度本社神輿を探すが空振りに終わる。
その後、あまり得るモノもなく。なんとなく物足りぬまま撤収となった。

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