平成16年度 大国魂神社 例大祭

2004年5月3日

朝。
前日の夜更かしが祟り、非常に眠い。
なんとか起きて食事をとり、集合場所へ向かう。
小雨が降っていたので、カッパを羽織ってゆく。まだなんとかなる範囲だ。
集合場所について、今年も宜しくお願いしますとご挨拶。
まるで、正月のような挨拶だが、違和感などまったく無い。
1年が、お祭りを中心にして巡っているからだろう。
集合時間を少々過ぎて、大体のメンバーがそろった所でお宮へ向かう。
お宮では、宝物殿前に、すでに神輿が何基か出ていた。
御本社は鳳凰を抑える細引きをかけようとしているところだ。
宝物殿前の木の下にいると、雨を感じない。
神輿の飾り付けは例年どおり。
天棒にはくさびを入れる。さらに、抜け止めにくさびの間に鉄パイプを入れてインシュロックで留める。
今年は、鉄パイプが少し短いといって騒ぎ出す。
くさびの打ち込む具合で、だいぶ変わるようだ。とりあえず良しにしたが、これが後で問題となる。
飾り綱をつけなおし、ちょっとやばい所は補修。その場でいかに補修するかが、お祭りの極意でもある。
飾り綱の準備が終わって、鳳凰を固定する細引きをかける。
次に飾り綱を締めて準備が完了。
一応、天棒のよじれ防止にトンボを入れるらしい。
簡単に縛って、本殿前に担いでゆく。
本殿前の定位置に収めて、公会堂に向かうことにする。
中雀門を出ると、御本社の太鼓が出ていて、順繰りにみなが叩いている。
俺も、軽く叩いてみた。
叩き終えて、家によってカッパを置いてから公会堂へ向かう。
公会堂で、昼食の接待の準備をすすめる。
昼食は恒例の蕎麦と饂飩。
接待に入るが、今年は人数が多い。入れ替わりで食べてゆくような状態となる。
昼食を済ませて、会所の設営準備。
大物は車で一気に運んで貰うことにして、運べるものをちょこちょこと運ぶ。
公会堂の倉庫からは、食器類、提灯、流し台、三宝、花瓶など。
裏の倉庫からは、会所の祭壇に使う台、お旅所に入れる神輿のウマ、会所に敷くゴザなど。
ここで例年と違ったのは、受付けとして会所に張っていた2丁目のテントが行方不明。
どうやら青年が使用することになっていたとのことで、単なる連絡ミスのようだ。
1丁目のテントを張って事なきを得る。
大体の荷物運びを終えて、今年修理の済んだ子供神輿を飾り、会所の設営を済ませ、提灯を組み立てて飾る。
警固提灯の弓が足りないので、それを内藤提灯店に頼む。
一段落したころ、友人が到着する。
毎年、祭り期間中のどこかを見物に来ている男だ。
友人の噂などを聞きつつ、デジカメを渡してよろしくと頼む。
お駒の時間まで、適当に休みを取りつつ待つ。

少し暗くなってきたころ、予定時間より、少し早めに西馬場と神戸が到着した。
分担した役割どおりに、行列につく。
片町を経由して、屋敷分に向かうのだが、予定より早かったようで馬運車が途中で追い越してゆく。
金棒の音を響かせながら、行列は進む。屋敷分の伊藤さんの家について、清めの酒を頂く。
その間に、馬の準備が済む。馬を連れて、神社へと向かう。
神社に着くと、かなりの人出があるようだ。毎年のことながら、人を掻き分けながら進む。
縁日を楽しんでいる所を悪いが、やはり行事の行列が来たら、さっさと道を明けてほしいものだ。
行列は、中雀門の左手から社務所の前に入り、各駒の乗り手が着替えを済ませる。
それが済むと、いったん表に出て中雀門の前から拝殿前に進む。
神前にて報告をして欅並木に一之駒から順に向かう。
隋神門を出た所で騎手は馬上へ上がる。
欅並木に入ると、やはり人出が多い。
行列は馬場に入り、役員は役員席へ。
しかし、この役員席が出来てから毎年のように一般人は入り込んでいる。
今年は特にひどく、役員が入りきれないような状態になっている。
そのため、予定が少し遅れたようだ。
これでは何のための役員席かわからない。一応の看板はあるのだが、効果は無いらしい。
役員が来たら追い出されるのに、一生懸命陣取っているのもかわいそうだ。
きちっとその旨を掲示して、できれば誰か人をつけて入り込みを防止するほうが、互いの幸せであろうと思う。
そして、なんとか役員も席に収まり、古式競馬式が挙行される。
4頭の馬が走るたびに歓声が上がり、フラッシュがたかれる。
あっという間に規定の往復を終えて、行列は大鳥居前に戻ってゆく。
今年、市制50周年を記念して新たに録音したという、府中小唄が流れる。
歌い手は北島三郎だそうだ。
その中を大鳥居まで引き返してゆき、ここで例年どおり四ヵ町の代表から挨拶があるのだが。
四之駒の役員がまだ戻らぬうちに挨拶を開始してしまう。
ひとつには連絡の不備。さらには警官が行列が入りきらぬうちに車を流したことだろう。
確かに信号どおりといえばそうなのだが、少々配慮に欠ける。
ようやく全員が大鳥居前に入ってきたと思ったら、すでに手締めの段階。
「よろしいでしょうか?」等といってるが、まったくよくない。
今年の例大祭初日は、なんだか締りが無くて終わったのであった。

2004年5月4日

9時集合。
会所の飾り付けを済ませて、一休み。
柏餅を食べて茶を喫する。
そろそろ子供神輿を準備しなくてはならないという時間になったので、会所前にて用意。
四天を組み、水をかけて縄を締める。
ふと気がつくと、神輿の後ろ前が逆のような気がする。
番場の子供神輿の胴には十二支が彫られている。
この十二支は四面に3つずつ彫られているが、鳳凰の向いている正面に馬が来ている。
そして、鳳凰が尻尾を向ける側の正面に子がいる。
これでは逆だろういうことになり、あわてて飾り綱を解き、鳳凰の向きを入れ替える。
駒札も付け直して、なんとか出発に間に合わせる。
今年、子供神輿は修理に出されて帰って来たのだが、そのとき入れ替わったのか?
子供神輿を送り出し、しばし時間が空く。
時間までの間、花をかけたり買い物に出たりして過ごす。
このとき、郷土の森の方がやってくる。少しお話をさせていただく。
その方から依頼があり、後日またとのこと。
そして、太鼓の町内廻りが始まる段になり、太鼓が引き出されて会所前にやってくる。
太鼓の胴を、ロープで台車に固定する。太鼓の上には命綱つけて準備を行う。
その間、清めの酒の準備を行い。提灯を準備する。
準備が済むと、太鼓の皮面の両面に酒を吹きつけ、車輪と舵棒に酒をかける。
総代の挨拶があり、順繰りに太鼓を叩き始める。
さて、これからの道中は長い。
とりあえず、誰もいないので上乗りする。
本来は交通整理をせねばならぬのだが、片町までそのまま行く。
天気もなんとかなりそうだ。
片町で太鼓から降りて、交通整理に回ることにする。
片町で一休みした太鼓は、弁慶橋方面に向かう。
高安寺の西側の道を南に下りて、南武線の踏み切りを超えて片町三丁目に到着。
ここは道が狭いので、先に踏み切り手前で対向車を止めなくてはならない。
会所の少し先、交差点手前でUターンして、会所に横付けする。
交代で休みを取り、喉を湿らせる。暑くなってきた。
ここに救急車が到着。なんだろうと思ったら、誰か太鼓から落ちたらしい。
一応、このときは無事だったとのことだ。
太鼓が出て、また高安寺の西を旧甲州街道へ戻る。そして分倍河原商店街へ。
分倍の駅まで太鼓は進み、駅前でUターンする。
戻ってきた所で、分倍の商店街にある会所で一休みする。ここではいつもバナナが出る。
このバナナを食べて、再び太鼓は動き出す。
旧道に戻り、京王線の踏切を越える。
屋敷分に入り、最初の信号を左に入る。突き当りを右へ進む。
ここも狭いので、先に回って車をとめなくてはいけない。
浅間神社の前の道に出たら、それを北に進み、旧道との交差点を左へ。
伊藤さんの家まで来てUターン。そこでも休憩をして、次は屋敷分会所に。
この辺りは、若干道幅も広い。少し太鼓を寄せて停めてもらえば差し替えは車なりに任せて問題ない。
だんだんと、みんな酔いが回ってくる頃合だ。
次の会所は美好町公園。ここから番場の北裏道をとおってゆく。
美好町公園からは踏切を渡り、すぐの所の焼き鳥屋さんで振舞い酒が出る。
樽酒なので香りがよくて、口当たりがいい。ここの砂肝がうまい。
そのさらに先でまた振舞っていただき、赤飯のむすびを頬張って先に回る。
ここもやはりすれ違いが出来ないから、気を使う。
そして、ようやく府中街道に出る。ここが一番の難所で、今日もやたらに車が多い。
なんとか隙を見て、車の差し替えをするが、それも限度がある。半ばあきらめることに。
太鼓は20号線を越えて市民球場へ。
この交差点でUターンするので、街道を北上する車はようやく開放される。
そして、今度は南下する車が迷惑をこうむることになる。
この、球場のちょっと南には寿町の会所があるのだが、その近くで事故があったようだ。
連休で車が多いから、ある程度は増えるのだろう。
それを横目に、太鼓は20号を再び超えて、番場三丁目の会所に向かう。
三丁目の会所は番場の北裏公会堂と、それに隣接する公園の中にある。
さらに太鼓が進んで、先頭の前のパン屋さんへ。
ここは数年前に出来たのだが、ご主人の好意で毎年いろいろ振舞ってくれるのだ。
頂いたアイスを食べて、番場の西に位置する道を南へ下る。
途中、番場屋さん(現 番場自治会連合会長)の店があり、ここでアイスコーヒーやフルーツを頂く。
ここからはだいぶ手も空くので、俺も上に上がることにする。
ちょこちょこと話をして、あっくんも上に上げてしまう。
上に上がって、太鼓は旧道を越え、番場一丁目にはいる。
一丁目の裏道を市役所にむけて進み、万年屋さんのマンションの前に一丁目の休憩所がある。
ここでは、毎年ラムネが出る。
飲み疲れたところにラムネが出るので、評判がいい。
ここで俺が警固を変わり、府中街道へ。
時間調整(笑)の甲斐もあり、本町の太鼓とぶつかる。
府中街道と旧甲州街道の交差点で叩きあいをする。
ひとしきり盛り上がったあと、西馬場へと向かう。
今年は実に順調だ。まぁ、一人太鼓から落ちてはいるが、それ以外は実に順調だ。
そして、太鼓は合同庁舎の脇を北へ。
たぬきの前、畳屋さんの前と停まり、今年はちょっと寄り道を。
亡くなられた方に、想いをささげるために。
そして、太鼓は普段のコースに戻り、西馬場会所前を通って欅並木を北に向かう。
20号を越えてすぐだったろうか。
また一人落ちた。
「なにやってんだ」と怒鳴り声が飛ぶ。
タイミングが悪かったと言うのもあるだろう。このときは俺も落ちるかと思って驚いた。
急に太鼓が返ったので、バランスを崩して落ちたのだ。
後で聞くと、骨折とのこと。
よほど気をつけなければ、と思う。
そして太鼓は保健所前で折り返し、欅並木を神社に向けて引き返す。
そして、西馬場会所に入る。
西馬場の会所をでて、大鳥居に向けて進む。
大鳥居の手前で、本町の太鼓とまた出会う。
参道には、三之宮と二之宮だろうか?他の太鼓が入っており、本町の太鼓はそれが出るのを待ってるのだろう。
旧甲州街道はすでに山車のパレードが始まっていて、すごい人出だ。
西の山車が大鳥居の前を通り過ぎてゆく。
先頭は番場か?次が片町だったと思う。
その行列の間へ太鼓を出す。
本来、神戸の会所へ向けて、抜けてゆけばよいのだが。
そりゃ、ギャラリーもいっぱい。大鳥居のまん前。
いいところなんだから、太鼓をちっと停めたりするわけだ。
すると、囃子保存会の役員が怒鳴り始める。
要は早く行けと。
太鼓の周りの人たちも負けずに怒鳴る。と、いうよりも相手の数十倍怒鳴ってる。
だって、相手は一人だし。
適当に、一種のレクリエーション(?)を楽しんだ後、太鼓は神戸の会所へ。
神戸で山車が通り過ぎるのを待って、太鼓は番場へと戻る。
旧道は交通規制がかかってるので、太鼓は道の真中を進む。
「番場の会所の所で急ブレーキかけて、上のやつが何人落ちるか試そう」
とか。
「今日は5人落とそう。2人落ちたから、あと3人だ」
とか。
上乗りしてるほうからすると、すみません。やめてください。といいたくなるような物騒なことを言ってる。
太鼓は府中街道を越えて番場に差し掛かり、某ピザ屋の前に。
太鼓がなぜか停まる。
ここは番場の太鼓総代をやってる、荻野さんの家の前(1階は店舗として貸してる)なのだが。
始まったのは「ピザ食べたいな〜!」と。
要は太鼓総代に、奢れ・・・・と。
そして、本当に店に入って頼んでしまう。
「ピザ10枚。支払いは家賃から引いといて」
店の人は冗談と取ったか本気で取ったか。
こちらはこちらで、ほんとにピザが来たらどうしよう。なんて話していた。
そして太鼓は、番場の会所へ。
ロープをはずして片付け。こちらは接待の準備。
小屋に太鼓を収めに行ったとき、会所前に停まるピザ屋のバイク。
「ピザお届けに参りました〜」
ホント来たよ。って感じだったが、来たものは仕方ない。
「こういうものは熱いうちに食え」ということで、みなが手を出し、食べた人はさっと帰ってゆく。
奢らされた当人はまだ返ってこない。
しばらくして返ってきて、やはりびっくりしたようだ。
多分3万を越えるくらいだろうか?
こうなっては仕方ないということもあるだろうが、みんなに振る舞う。
男を上げました。と思わないとちょっと悲しいかもしれない。
その熱いピザを腹に収めて、みんなは降り出した雨の中を返ってゆく。
山車のパレードはちょっと可哀想だ。等と話しながら番場の山車の帰りを待つ。
さて、明日の天気はどうなるか?
心配なことである。

2004年5月5日

朝から雨。
マジですか?と問いたくなるような雨。
雨合羽を着て会所へ行く。
高張りは一通り出すが、警固は出さず。
小降りになったと思うと、また強く振る、そんな雨。
そこへ神社から連絡が入る。お白州の神輿の屋根を外してほしいとか。
そんなことは例年いわれたことが無い。急遽大工さんに連絡を取る。
結果、これは空振りになるのだが。なにをどう騒いだのかがわからない。
太鼓講中があつまってきて、神社にお参りへと向かう。
花を頂いて、返礼に手ぬぐいをお渡しする。
しかし憂鬱な雨。上がってほしいな。

その願いが通じたのか、昼ころには雨もかなり小降りに。
ときおり降るが、たいしたことは無い。
太鼓講中の手で太鼓が出されてきて、準備を始める。
俺も準備をする。警固の準備。ビニールを提灯にかけて自分も合羽を着る。
もうほとんど降ってないが、おいでの前に濡れたくない。
太鼓の準備が済むと、太鼓講中への太鼓引渡し式。
式を済ますと、太鼓は屋敷分へ向かう。
屋敷分で折り返し、また太鼓は引き返してくる。
片町の会所に寄ったとき、錦戸親方が部屋の力士を連れてきていた。
お相撲さんというのは、えらく大きいものだ。
ちょっと太鼓を叩いたりするが、これくらい力があるとすごい。
三々五々、記念撮影をしたりして太鼓は神戸へ向かう。
途中、神路清浄を待つため、旧道と府中街道の交差点で待つ。
道清めが行き過ぎる。カッコいいね。
神戸に着いて、また一休み。
ここで町内が集まって記念撮影をする。
なかなかカッコいいでしょう。普段あまりやらないからね。
そして太鼓は出発。西馬場を経由して、鳥居前に戻る。
ここでササラがつく。
今年、復活したのだ。
ササラで道を清めながら、太鼓は鳥居をくぐり、神社へと進む。
昔は、ササラの調子をあわせるのに、府中小唄を歌いながら進んだという。
ああ、六所明神さま くらやみ祭りよ
闇に旅所へ ササラサイサイ
闇に旅所へ渡御なさる
あれは灯じゃない空の星 星さえ府中を出て覗く。
サァッサヤサキタ ササラサイサイ
この調子が、ちょうどいいのだろう。
行列は隋神門をくぐり中雀門の前まで進む。
太鼓を宝物殿前のスペースに収めて解散する。
解散となった後で、お差込の様子を見に、お白州へ入る。
ちょうど、御本社の飾り綱にさらしを巻いていた。
一通り済むと、役員は外へ出る。
社務所の人たちによって、お白州の砂にはきれいに目をつけられてゆく。
我々はいったん会所へ戻り、一休みする。

時間も押し詰まってきた。準備を済ませて会所に皆が集まる。
今年は手違いがあったので、神戸で担ぎ棒を変えねばならない。
番場には古い担ぎ棒が届き、新しい担ぎ棒は神戸に行ってしまっていたのだ。
行列を組み、神戸へと向かう。ホイサホイサと声をあげつつ進む。
神戸で、問題の古い担ぎ棒を新しい担ぎ棒に替える。そして、神社へと行列は向かう。
参道の途中で、先駆の行列とすれ違う。
我々は脇により先駆行列をかわす。
先駆は、警固を先導にして獅子頭や太刀などを奉じた行列だ。
普段、宝物殿に収蔵してある品々を、大祭のときに出すのだ。
我々は、すでに引き出した太鼓の列の脇を通り、中に進む。
隋神門をくぐり、中雀門へ。
外は人がいっぱいだ。
しかし、中に入ると閑散としている。それが不思議な感じがする。
まぁ、各宮の限られた人間しか、入らないからなのだが。
しばし、待つ。
中雀門の中のほうが、人が少ないせいか、緊張感は少ないように感じる。
で。
鳴った。
花火が上がり、門が開かれ、白丁を着た青年が中に入る。
ホイサホイサの掛け声。外ではいっせいに太鼓が鳴り出す。
一之宮が出てくる。
いったん、拝殿前で神輿を下ろして、四天をつける。
少し揉み、中雀門をくぐって出てゆく。
最近は、時間の制限があるためか、比較的進行が早い。
次々と神輿が出てきて、四天を組み、外へ出てゆく。
六之宮が出て、いよいよ御本社が。
ここからは慌しい。
神輿が出たので、四天を組む。ロップをかけて締め上げる。
中雀門を出るとき、ウマを持って外へ。
隋神門前まで運んでしまう。
そこで一息入れ、神輿が隋神門を出るのを待つ。
神輿が隋神門を出ると、少しもんだ後、下ろされる。
ウマを入れて、四天の組みなおし。トンボを長いものに変え、今度はロップを水で締める。
短いトンボは神戸の会所へ。
あっという間に神輿は宮之盗_社まで行き、そこで挨拶をする。
ここでウマは要らなくなるので、これも神戸の会所へ。
今年はペースが早い。一気に大鳥居を出て、甲州街道へ出てしまう。
ここで六之宮と軽く揉みあう。
昔なら喧嘩だろう。
六之宮と入れ違いに少し東に。
引き返したところで神輿が下ろされる。
クサビが抜けたとのこと。
神戸の会所まで行き、ウマを取って返す。ウマを入れてクサビを入れなおす。
3日に入れた鉄パイプが短かったため、クサビが抜けたようだ。
釘を打って応急処置。何とか直す。
しばらくそのまま休み、再度神輿が上がったら今度はどんどん進む。
六までがすでに交差点だ。五之宮と六之宮が揉みあう中へ、御本社も入る。
警固はとうに道を開いている。
交差点に入り、写真をとる。戦場カメラマンのような状態だ。
と、六之宮との間にはさまれる。本社と六之宮のあいだで身動きが取れなくなる。
自分の骨がギシギシと鳴るのがわかる。
必死で押し合う。命がけとはこのことだ。
フィルムが尽きた。というよりさっさと撮り切った。
担ぎに入る。
もう、わけがわからない。

担ぎ手の掛け声。

太鼓の音。

叫び声。

神輿の飾りが鳴る音。

観客のどよめき。

すべてが集まり「うわぁん」という音になる。

白・金・桃・紫・黒・光・闇。

そういうものが一緒くたになって、周囲に靄がかかったよう感じがする。

何度かぶつかる寸前まで押し合ったが、六之宮がついに下ろされる。
「下ろした下ろした」との声。
もう、突っかかるなと。

「うわぁん」という音が少し小さくなる。
ギリギリをかわして、本社が交差点を練る。
ホイサホイサホイサホイサ。

「うわぁん」という音が止んだとき、今年のおいでが終わった。


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